【宮崎県】統合型校務支援システム県内で統一

都道府県

少し前になりますが、宮崎県が県内市町村の公務支援システムを開発するというニュースをみました。

小中生の情報一元化 県教委、校務支援システム導入へhttp://www.the-miyanichi.co.jp/kennai/_40403.html

そもそも校務支援システムとは

教務系(成績処理、出欠管理、時数管理等)、保健系(健康診断票、保健室来室管理等)、学籍系(指導要録 等)、学校事務系など統合した機能を有しているシステム

文部科学省 統合型校務支援システム導入の手引き より

学校には、在籍する児童生徒の情報が、紙で保存されています。それら紙の情報が、職員室や事務室、保健室にあり、今までバラバラに保管されていました。

バラバラに保管されているため、それぞれの情報を紐付けることができずにいました。

統合型校務支援システムは、それらを一箇所にまとめて管理保管し、校務の効率化を図るシステムになります。

もともと紙で作業していたことをデータ化するため、統合型校務支援システムを導入すること自体、予算やノウハウといった課題があり、導入に踏み切れない自治体が多くあります。

今回の宮崎県の事例は、この統合型校務支援システムを市町村単位ではなく県が一括でシステム開発を行うというもので、県が音頭を取って教育の情報化をすすめる良い事例になればと思います。

課題

児童生徒一人ひとりのデータをどのようにして紐付けるのか

成績情報をこのシステムに取り込ませて、9年間管理していくものと思われますが、その情報を誰がどのタイミングで入力するのか。

平成30年度学校基本調査より宮崎県には、公立小学校1年生は9,603人に在籍しているとのこと。システムが稼働すれば、1万人弱✕9年間、更に、卒業後成績情報を保存しておく期間もあるため、それらを管理する必要があります。

さらに、利用する教職員の情報をどのようにして管理していくのかも気になるところです。

同じように、平成30年度学校基本調査によると公立小学校に4,256人の教員と736人の職員が勤務し、公立中学校に2,597人の教員と377人の職員が勤務しています。

単純計算7,966人の利用者がいると考えられ、7,966人分のアカウントを発行して管理する必要があります。(今どき、学校で1アカウント発行して教職員全員で共有するということはないと思いますし)

生徒一人ひとりの情報、そして、利用者のアカウントをどのように管理していくのか気になるところです。

利用する市町村の負担金をどのように按分するのか

県内統一でシステム開発をしたあと、各市町村は、負担金を求められると思います。お金を払わなければいけないというのは致し方ないにしてもどのように按分していくのか、気になるところです。

考えられるのは、生徒数? 、学校数? 、自治体の財政状況?・・・

他の自治体では

宮崎県だけでなく、その他の県でも同様の事例があるようです。

文部科学省の調査研究より

文部科学省でも実証研究があり、 統合型校務支援システムの共同調達・共同利用のための手引き  が公表されました。

「学校ICT環境整備促進実証研究事業」(統合型校務支援システム導入実証研究事業)

事業の趣旨
 新学習指導要領等を確実に実施し、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた学習指導の充実や、生徒指導、部活動、保護者や地域との連携など、学校や教員に対する期待が増大している一方で、教員の長時間勤務が課題となっており、教員の業務を軽減していくことが求められている。統合型校務支援システムの導入は、教員の業務効率化に資することから、今後、統合型校務支援システムの全国的な導入・普及を加速化させる必要がある。統合型校務支援システムの導入が、小規模自治体において遅れている(政令指定都市の80%、中核市・施行時特例市の57%が導入済みであるのに対し、その他の市では28%、町村では17%のみが導入)ことや、小中学校の教員の異動が都道府県単位で行われている実態も踏まえ、都道府県単位でのシステムの共同調達・運用を促進する。

文部科学省「学校ICT環境整備促進実証研究事業」(統合型校務支援システム導入実証研究事業)
実証地域統合型校務支援システム
整備率(%)
岐阜県教育委員会 30.1
奈良県教育委員会 17.9
高知県教育委員会 17.2
長崎県教育委員会 24.5
全国平均57.2

実証地域はいずれも、 全国平均と比較して統合型校務支援システムの導入があまり進んでいない県が採択されています。

この実証研究を通して業務をシステムで効率的に行い、業務時間の短縮や、その先にある教育の質的向上を図ることができればと思います。

今後に期待

このシステムで入力された、一人ひとりの情報が、小中学校だけでなく、県立高校にまで拡張されれば、児童生徒の成長の記録を一元的に管理することができ、その子にとっても良いポートフォリオになると思いました。今後の発展に期待したいと思います。

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