現状
事務連絡
文部科学省初等中等教育局情報教育・外国語教育課から下記の通知が発出されました。新型コロナ感染症拡大への対策として補正予算が計上されましたが、メニューの中に、高等学校段階における端末等の整備が追加されました。
今まで、GIGAスクール構想では義務教育段階を対象とした整備が中心でしたが、今回の補正予算で高等学校への端末の整備への補助が用意されました。
端末整備の全体像
令和2年度のGIGAスクール構想での義務教育段階を対象とした整備は全生徒が対象となっていましたが、今回は、そうではなく低所得世帯等の生徒が使用するPC端末整備となったようです。
全生徒ではないので、金額も今までの比べると10分の1ぐらいになりました。
整備概要(案)
課題
今回の通知を見て、課題となるポイントをあげてみました。
1 低所得世帯をどのように定義するのか。
住民税非課税世帯とするのか、奨学給付金受給世帯とするのか、低所得世帯といっても様々な定義があります。通知についているQAには「高校生等奨学給付金を受給している者の数を上限として補助を行うことを想定しています」としていますが、それらの台数が整備されたとしても、各学校では誰に貸し出すのかといった問題は別に生じると思います。
2 設置者の多様な整備実態
通知にもあるように高等学校の整備は自治体によって整備方針が異なっていることが分かっています。令和2年度に義務教育段階の整備が決まったため、高等学校分も合わせて整備を進めている自治体もあれば、BYODで個人負担で整備を進めている自治体もあります。
別の記事でもそのことを記載しています。
1人1台を既に整備する方針となっていれば、それと同機種を今回の補助金で整備すれば良いと思うのですが、個人負担で整備を進めようとしている自治体にとっては、頭の痛い悩みになってしまうのではないかと思います。
一方で公費負担で整備して、一方では個人負担で整備する。このズレを埋めるのはなかなか大変ではないかと思います。
3 安価な補助率
4.5万円までしか補助金が出ないため、高校生が必要とするスペックのパソコンが整備できるのか心配です。GIGAスクール構想によって多くのメーカーから安価なパソコンが登場し、パソコンを安く購入することができるようになりました。しかし、それは義務教育段階の子供たち向けのパソコンだからというのもあると思います。例えば、商業高校や工業高校など専門高校に通う生徒たちにとって、今登場しているスペックのパソコンでは難しいと思います。
(文部科学省は、専門学校の子どもたち向けは別の事業でカバーするつもりなのだと思います。)
対応
今後具体的なスケジュールが示されるとは思いますが、令和2年度の補正予算となるので、今年度中に交付決定まですすめることになるかと思います。
(参考)令和2年度前半の端末整備のスケジュール
この時は、緊急事態宣言のため2段階で交付決定が行われました。
所感
今回の補助金は、高等学校の1人1台の整備を勧める契機になると思います。もちろん課題はありますが、自治体にとっては、今回の補助金を使わない手はないですし、1人1台の方針を決定する良いタイミングになるのではと思います。
GIGAスクール構想で整備された端末を使用した義務教育段階の子供たちが、学年をあがってくるので、当然、高等学校も1人1台でなければならないので、待ったなしではないかと思います。
この整備が子どもたちにとって良いものになることを期待しています。
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