新時代の学びを支える先端技術活用推進方策

文部科学省

新時代の学びを支える先端技術のフル活用に向け、昨年11月に「柴山・学びの革新プラン」が発表され、反響がありました。

その後、平成31年3月にはこれを踏まえた中間まとめを公表され、令和元年6月25日に最終まとめが公表されました。

概要

 今回、本年5月に公表された教育再生実行会議の提言や、関係者との意見交換を踏まえつつ、中間まとめの内容を更に深掘りし、「誰一人取り残すことのない、公正に個別最適化された学び」を実現すべく、新時代に求められる教育の在り方や、教育現場でICT環境を基盤とした先端技術や教育ビッグデータを活用する意義と課題について整理するとともに、今後の取組方策を最終まとめとして取りまとめました。今後、新時代の学校、子供の学びを実現するための取組を加速してまいります。

文部科学省  「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策(最終まとめ)」について

内容について

現状と課題

ハード上の課題

多くの家庭でPC(タブレットも含む。)を所有し、スマートフォンの普及率が高まっている中、学校では教育用コンピュータの配置や無線LANを初めとした通信ネットワークは脆弱で、ICT環境の整備は不十分であり、地域間格差も大きい。

家庭ではスマートフォンを使っているのに、学校には無線LANの環境がない!、そもそものインフラが整っていない。

学校で使うためのパソコン等の機器は、教師のニーズや働き方に照らして使い勝手が悪く、価格も市場の機器と比較して高く整備されている場合が多い。

多額の予算をかけてパソコン教室も整備されたけど、不必要なソフトがインストールされたりしている。

利活用上の課題

学習指導要領の求める資質・能力を育成、深化し、子供の力を最大限引き出すために、どのような場面でどのような機器を利活用することが効果的なのか、実証的な検証等が少なく明らかでない。

黒板を使った授業とプロジェクタを使った授業、どっちが良いかではなく、黒板を使ったほうがわかりやすい場面、プロジェクタを使ったほうがわかりやすい場面、使い分けできるとよいよね。

データは機関や事業者ごとに異なる指標を使って収集しており、膨大なデータを集めても、機関間でのデータの受け渡し(データ・ポータビリティ)が確保されていないため正確な比較や参照ができず、収集したデータが教育の質の向上に十分に活用されていない。

職員室、事務室、保健室、生徒の情報がバラバラに保管されているから、個々のデータを紐付けることができず、活かしきれていない。

セキュリティの確保やプライバシー保護の観点を重視し過ぎていることから、データの利活用が進んでいない。

個人情報保護法等、生徒の情報を扱うことに対して慎重にならざるを得ない・・・

具体的な政策

文部科学省は、以下の2つの方策を中心に、4つの政策を展開していきます。

  • 遠隔教育をはじめICTを基盤とした先端技術の効果的な活用の在り方と教育ビッグデータの効果的な活用の在り方
  • 基盤となるICT環境の整備

SINETの初等中等教育への開放

  • 「SINET」とは、国立情報学研究所(NII)が構築・運用する高等教育を対象とした日本全国の国公私立大学、公的研究機関等を結ぶ世界最高速級(100Gbps)の通信インフラ
  • これまで高等教育機関等が教育研究用として利用してきたところ、希望するすべての初等中等教育機関でも利用できるようにする。

クラウド活用の積極的推進~「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」の在り方の検討~

  • パブリッククラウドの利用を前提とした記述の整理
  • サーバ・ネットワークの構築方法の整理
  • 情報資産分類の見直し・柔軟化

安価な環境整備に向けた具体的モデルの提示

  • 安価で一般に普及している機種を時代に合わせて更新(高価・高性能な機種は不要)
  • 適切な通信ネットワークとクラウドコンピューティングの活用
  • 「全国ICT教育首長協議会」等との連携により、複数自治体による一括調達等を実現

関係者の意識の共有と専門性をもった人材の育成・確保のための取組の推進

ICT環境整備の可及的速やかな促進に向けて、適切な環境整備の方策(推進施策1~3)を提示・推進しつつ、関係者(首長部局、教育委員会、学校等)が、学校現場のICT環境の現状・課題を適確に把握し、ICTを効果的に活用するための知識・知見を高めていくことが必要。

最終的な目標

目指すべき次世代の学校・教育現場を多様な子供たちを「誰一人取り残すことのない、公正に個別最適化された学び」の実現と位置づけて

令和5年度までに世界最先端の教育環境の実現を最終目標とし、今年度(令和元年度)内にロードマップが策定されます。

所感

今回の柴山プランは、先進的な技術を生かして、教育の情報化を一歩先にすすめるものであると感じました。

自治体担当者も、「ここまでのレベルはまだとてもとても」と思われがちですが、国がこういった政策を打ち出している以上は、遅かれ早かれ舵は切らなければならないと思います。

「学校という現場をきちんと理解しているのか、先端技術なんて何十年も先の話だ」といった声もあるかと思います。

でも足元ばかりみていても前には進みません。先を見据えて、方向性を見定めて、変化を受け入れなければならないと思います。

この方針が、各自治体、各学校にとって良い方向に進むことを期待しています。

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