中学校英語「話すこと」調査、検証報告書を公表

ネットワーク

学力調査とは

平成 19 年度より毎年度実施している「全国学力・学習状況調査」は、小学校及び中学校それぞれ全国 100 万人規模で同時一斉に実施する調査であり、かつ問題が全部公開されるという、国内外で類をみない特徴を有している。調査の実施主体は文部科学省であり、参加主体である各学校の設置管理者との実施要領に基づく協力関係によって実施されている。

今年度は中学校英語も調査

平成 31 年 4 月 18 日に実施した平成 31 年度調査においては、教科調査として中学校英語を初めて実施し、「聞くこと」「話すこと」「読むこと」「書くこと」の4技能を調査した。このうち「話すこと」については、筆記方式では調査できないため、初めて学校 PC を利用した音声録音方式を導入した。

調査方法

文部科学省の通知文(事務連絡平成30年11月12日)より一部抜粋

各学校のコンピュータ教室等の PC 端末,配布する USB ヘッドセット及び USBメモリを活用し,音声録音方式により,一学級が同時に調査を行います。

「USBメモリを利用」って、情報セキュリティインシデント(USBメモリの紛失)への対策は考えていたのかな

各学校の PC 端末等を活用した調査であることから,各学校の ICT 環境の整備状況によって,各学校における準備や実施にかかる負担が多様であり,その程度が現時点で網羅的かつ詳細には把握できないこと,さらに,万全に準備をした場合においても,PC 端末の故障や不具合等が発生しうることなど,準備から実施に至る過程で,筆記方式の調査とは異なる課題や制約を抱えています。

結局、各自治体によって整備のレベルが異なるから、こういった問題が生じてしまう

調査プログラムは、Windows対応のものを使用することとしました。

え、この時代に、一択?

学校によっては、iPadを導入しているところもあるはず

また,全学校一斉のネットワーク接続により,帯域不足による遅延などの支障が想定されることから,調査方法はオンライン方式ではなく USB メモリを活用したオフライン方式としています。

簡単に調査できる仕組みを提供したかったと思うけど、ネットワークに不安があったんだろうな

結果

音声データ欠損等のあった生徒数・学校数:15,298 人・1,658 校(受験した生徒数 1.6%・当該生徒が 1 名以上在籍する学校の数 17.5%)

平成 31 年度(令和元年度)全国学力・学習状況調査中学校英語「話すこと」調査 検証報告書 p12

生徒数の1.6%をどのように捉えるかですが、学校数でみると17%、2割弱の学校でなんらかのトラブルがあったとすると、成功したとは言いづらいのではないでしょうか。

中学校英語「話すこと」調査 検証報告書の概要版からもICTを活用した調査方法に設計し直すようなコメントが見受けられました。

報告書のおわりには、各学校のICT環境整備についての記述がありました。

特に、採用した音声録音方式においては、オフラインかつ USB メモリによるデータ回収を行うこととなり、必ずしも PC による調査の利点を十分には生かすことができなかったが、これは本報告書に詳述したとおり、各学校の ICT 環境を利用するという条件下での、その整備状況からの制約を受けたところが少なくなかったからである。今回起こった事象についても、特に準備・実施における教職員の負担やデータ欠損等の発生については、PC のスペックに余裕が無いことや、PC にあらかじめインストールされている各種ソフトウェアの動作等の影響など、PC の整備状況が関係すると考えられる部分が少なくないこと、また、本来は PC の活用により処理の自動化と学校の負担軽減を図ることが可能であるはずの部分についても、全国的な PC の整備状況を鑑み断念せざるをない状況があったことは残念なことである。次回の「話すこと」調査の着実な実施のためにも、各学校の ICT 環境整備の速やかな進展を希求するところである。

平成 31 年度(令和元年度)全国学力・学習状況調査中学校英語「話すこと」調査 検証報告書  p23

リンク

平成31年度(令和元年度)全国学力・学習状況調査 中学校英語「話すこと」調査 検証報告書(令和元年9月20日 全国的な学力調査に関する専門家会議 平成31年度英語「話すこと」調査検証ワーキンググループ)

所感

今回の調査は、良くも悪くも学校のICT環境の脆弱さを露呈することとなりました。ICTはあくまでもツールであるという思いはありますが、このような環境では、せっかく便利なツールが逆に足でまといになってしまっています。

文部科学省もこの調査結果を受けて、GIGAスクールネットワーク構想の概算要求を打ち出されており、この波が早急なICT環境整備につながればと思います。

そして、来年度以降、この「話すこと」の調査が、自治体及び学校関係者の負担にならなければと思います。

(来年度は、少なくともUSBでの調査はやめましょうよ・・・)

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