文部科学省令和2年度補正予算案への対応を見て

文部科学省

本日、文部科学省のホームページに令和2年度補正予算の概要が公開されました。

新型コロナウイルス対策の政策が展開されています。

今回は、この政策パッケージを見ていこうと思います。

「1人1台端末」の早期実現

金額は、1,951億円が計上されています。

全国の義務教育課程の児童数は以下のとおり

学年人数
小学1年生1,028,675
小学2年生1,043,610
小学3年生1,062,235
小学4年生1,064,374
小学5年生1,080,561
小学6年生1,089,095
中学1年生1,078,713
中学2年生1,052,191
中学3年生1,087,233
合計9,586,687
学校基本調査の結果より(令和元年5月1日現在)

令和元年度補正予算で計上されているのは、小学5年生~中学1年生の3,248,369人が対象でした。

令和3年度以降で整備する予定だった小学1~4年生、中学2、3年生は、6,338,318人です。

GIGAスクールの1人1台端末の整備ですが、3分の1は、地方交付税措置がされているため、国庫で整備するのは3分の2となっています。

6,338,318人 × 2/3 ≒ 4,225,545人分

4,225,545人分 × 45,000円 ≒ 1,901億円

50億ほどずれがありますが、都道府県事務費や特別支援学校に在籍する児童生徒がこの合計人数に含まれていないため、ニアイコールとさせてもらいます。

金額からして今回の補正予算でやはり全学年に一斉に整備することになりそうです。

家庭学習のための通信機器整備支援

Wi-Fi環境が整っていない家庭に対する貸与等を目的として自治体が行う、LTE通信環境(モバイルルータ)の整備を支援に147億円が計上されています。

家庭にルータを貸し出して、パソコンやタブレットで通信ができる環境を用意するイメージでしょうか。

対象は、国・公・私立の小・中・特支等となっているため、端末の整備と同様に義務教育課程の子どもたちに向けた支援策であると言えます。

一方で、「年収400万円未満(約147万台)」を条件としているようですが、この判断は非常に難しいかと思います。

年収で判断するのではなく、学校が各家庭にアンケートをとる自治体が多いのではないでしょうか。

「おたくの世帯年収はいくらですか?」なんて聞けないですからね。

もう一つ気になることは、月額の通信料を誰が負担するのかが気になります。そもそもルータ本体は、そこまで高くないのですが、そこからランニングコストで通信料がかかります。

(モバイルルーターを契約する場合、一般的にルータそのものと通信料をセットで購入します・・・別々に契約ができるのでしょうか)

文部科学大臣が記者会見で、以下のように述べています。

(記者)~モバイルルーターの貸出し等を予定されているということですけれども、今日の国会でも通信費は補助できないのかという質問があったと思いますが~

(大臣)前段の通信使用料については、これは各自治体でご負担をいただくということを前提でやっていますので、今後も、今はちょっと緊急事態の対応ですから様々なことを考えながら動きたいと思いますけれども、基本的には各自治体で負担をしていただきたいと思っております。

令和2年4月7日(火曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の臨時記者会見

貸与のする世帯の判断をどのようにするのか、ランニングコストを誰が負担するのかの情報が今後整理されてくるのではないでしょうか。

学校からの遠隔学習機能の強化

臨時休業等の緊急時に学校と児童生徒がやりとりを円滑に行うため、学校側が使用するカメラやマイクなどの通信装置等の整備を支援に6億円が計上されています。

イメージ図を作っていました。学校などで授業動画を撮影、配信します。生徒たちはクラウド上でその動画を共有します。

撮影に必要なカメラやマイクを整備する際に補助金を活用することになります。

上限が3.5万円なので、かなり機種が限られるのですが、補助金を活用して機器を整備できるこのメニューは魅力的と思いました。

所感

コロナウイルス対策として経済対策が打ち出されましたが、今回の端末一斉整備については、一気に整備を進めようとしる文部科学省の意図がヒシヒシと感じます。

しかし、現実問題以下のような疑問が生じているのも事実です。

①そもそも1年間で950万台のパソコンが納品できるのでしょうか。(当初の320万台ですら難しいと感じていました。)

②パソコンなどの部品は海外の工場で生産されています。このコロナウイルスが全世界で発生している中で、メーカーは調達できるのでしょうか。

③仮に納品できたとしても、学校のネットワークの帯域がもつのでしょうか。(ローカルブレイクアウトも考えられますが)

最終的には、学校の担当教員の負担になりかねないか心配です。

④パソコンは概ね5、6年で更新を迎えます。次の更新時期に国庫の補助がつくのでしょうか。

ざっと思いつくだけで、これぐらいの疑問が生じます。

否定ばかりしても仕方がないので、この補助金をポジティブにとらえて

今回の機会で整備をしなければ、いつ整備して、いつ使うのか!?

といった考えもあります。(おまえはどっち側の人間だと怒られそうですが)今回の補助事業も自治体や学校の整備の一助になれば幸いです。

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